母が特殊詐欺(架空請求)に引っ掛かった。その時の詐欺の対処法とは。
仕事中に母から電話。
仕事中に電話をかけることは決してしない母が、珍しく電話をかけてきたので、変な胸騒ぎがあったので、電話をしてみたところ・・・
なんか・・・
変なハガキが来てて・・・
と母親から電話があった。その声は、とても不安そう。
内容を聞くと、母曰く「今日到着したハガキで今日中に連絡をしないといけないと書いてあった。そうしないと裁判になるって。しかも、プライバシーなんたらで警察に電話できなくて」という意味不明な内容。
僕はすぐに「それ詐欺だよ!」と即回答。「連絡とかはまだしていないよね?」って聞くと、
母「電話したんだけど・・・」
まじかーーーーーー!
こっちが焦りました。特殊詐欺・架空請求詐欺は徹底無視が原則なのに。
母「おかしいとは思ったんだけど・・・」
ならなぜ電話したし・・・
その電話をしながら僕が慌てている様子を見た社長が、
「自分は騙されないと思っていも、人は騙されるものだからな。(今すぐ)帰って、(母を)安心させてあげたら?」
と後押しをして下さり、今日は会社を早退し、急いで実家に帰りました。
(慌てて帰宅したもので、早退届出すの忘れてました。明日出します)
今回、そんな我が家の事件簿「母が特殊詐欺に引っ掛かった」についてお送りします。
こんな詐欺だった
実家に帰って、ハガキを見せてもらうと下記の記事の内容の通りのものでした。
「新手の詐欺?地方裁判所管理局?から不信ハガキが届きました。」
2018年10月ごろから出回り始めた特殊詐欺のようです。
内容はこうです。
特定消費料金 訴訟最終告知のお知らせ
この度、ご通知致しましたのは貴方の利用されていた契約会社、ないし運営会社から契約不履行による民事訴訟として、訴状が提出されました事をご通知致します。 裁判所取り下げ最終期日を経て訴訟を開始させて頂きます。 尚、ご連絡なき場合原告側の主張が全面的に受理され執行官立会いの元、給料差し押さえを強制的に履行させて頂きますので裁判所執行官による執行証書の交付を承諾していただくようお願い致します。 裁判取り下げなどのご相談に関しましては当局に承っておりますので、職員までお問い合せ下さい。 尚、書面での通達となりますのでプライバシー保護の為、ご本人様からご連絡頂きますようお願い申し上げます。
※取り下げ最終期日 平成31年3月8日
地方裁判所管理局
東京都千代田区霞が関1-1-3
お問合せ窓口 03-6709-0157(補足:この電話番号に絶対にかけてはいけません)
受付時間9:00~19:00
このハガキを客観的に見れば怪しさ満点です。
- 具体的な民事訴訟元の会社名が書かれていない
- 具体的な契約不履行内容が書かれていない
- 出廷もしていないのに原告側の主張が全面的に受理されることはない
- 無職の母が給料を差し押さえられるわけがない
- 最終告知の段階なのに「裁判の取り下げ」っておかしい
- 人に知られて困る内容のハガキで「プライバシー保護」と言いながら、プライバシー保護シールが貼られていなかった矛盾
- 連絡をさせようとしていたこと。
- 東京都って書いているのに消印が千葉だったこと。
- 消印が3月6日で、送ってから丁度最終期日に到着するように計算されていることがわかる。(急いで連絡させようとしている)
- そもそも事前告知がない
- 投函されていたが、実際の訴状なら「郵便局員による手渡し」であるはず。
- 「特別送達」と記載されていない
これだけ怪しいのですが、「今日の19時まで」と書かれており、ちょっとした混乱をした母は、怪しいと思いながらも電話をしてしまったのです。
(どうしてこんな時だけ行動的なんだよ・・・)
その時どう対処したのか
対処法としては、電話をしないこと。無視をすること。
これが特殊詐欺や架空請求への対処法とされています。
今回は電話をしてしまった。
一般的に電話をしてしまうと、「騙されやすい人」ということで、詐欺グループのリストに載ってしまい、さらに今後加速度的にそのようなハガキやメール、電話が来るようになってしまいます。
まずはどこまで伝えてしまったかを確認。
確認をすると
- 「自宅の電話機」からかけた。→電話番号がバレた
- 名前を聞かれたので「名前を名乗った」→名前がバレた
- 生年月日を聞かれたので答えた→年齢がバレた
と、これだけ伝えたようです。
(住所は伝えなかったのは本当に良かった)
で、淡々とした声で「お調べしますのでお待ちください」と言われて2分ほど待っても待たされたので、電話を切ったということのようです。
短気な母の性格がここにきてプラスに転じた瞬間であった・・・!
その後折り返しの電話もなく時間が経過していた。
我が家の電話機では、非通知は電話がかからないように設定しており、詐欺グループは非通知でかけている為、繋がらなかったことが考えられます。
詐欺グループの常とう手段として、特定の電話番号にコールすると自動転送されて、詐欺師の元へつながるため、折り返すときは原則非通知で折り返します。
しかし、その電話番号を公開しても問題ないときは、その番号出かかってくることもあります。
大体、裁判とかどうとかって書いているところが非通知でかけるわけないんですよ。
そもそも、知らない電話番号の電話を取ること自体がおかしい。
社会人ならアポとれよ。
今後ありうる動き
母の年齢がバレたことにより、その年齢付近の人が引っ掛かりやすい詐欺のハガキなどを送ってくる。
非通知ではない番号で電話をかけてくる恐れあり。
とにかく相談の電話をした
今回、母から状況を聞き出し、ネットで「福井県消費生活センター」をぐぐった。
どこの都道府県でも消費生活センターがあるので、近場のところを検索して電話をしましょう。
電話をかけてみると、女性の方が出てくださった。落ち着いていて頼りになる声だった。
まずは、自分の置かれている状況について説明をしました。
母が詐欺の被害にあいまして。
僕はその息子で、連絡があり代わりに掛けています。
と伝えました。そして、今回このようなハガキが来ていて・・・と文面を読み上げていきました。
すると福井県消費生活センターの窓口の方から
「それは特殊詐欺ですね。本日でも数件相談がありました。」
とのことです。
福井県は高齢者(65歳以上)は30%ですからね。詐欺師からしたら、宝の山のように見えるのでしょうね。ムカツクわ。
「電話しないで」と言われたのですが、
すでに電話してしまっていて・・・
ということで、そのあとの対策を聞きました。
- 該当するその電話番号から電話があっても絶対に出ないこと
- その電話番号以外の番号でかけてくる可能性もあるので見覚えのない電話には出ないこと
- SMS(ショートメール)で、送ってくる場合があるかもしれないが、それも無視すること
上記を徹底してくれ、ということです。
念のため、最寄りの警察に電話する番号も教えてもらいました。
一応警察にも情報提供をする場合は、どうぞということで任意です。
ということで、
同じような被害者を増やさないようにするためにも警察に電話をしました。
警察にも同様に状況を説明しました。
そして同じように「今後向こうからアクションがあっても無視してください」というアドバイスをもらいました。
情報提供ということで、住所と名前を聞かれ、母が伝えようとしたところを制止しました。
だからアンタはすぐに騙されるんだ
相手は警察です。でも、「教えて」と言われてすぐに答えちゃうから、簡単に人に騙されるんです。こんなことがあった直後にも関わらずにです。
無理に聞き出そうとしてくるのであれば、それはそれで怪しい。だから、「あえてその時は教えなかった」んです。
人は用心しなければいけない。
最終的には「こういうことがあった後ですので、教えたくないのですが・・・」と伝え、住所と電話番号を聞かれることなく、電話を切りました。
本当は伝えてもよかったのですが、今回母に「簡単に教えないで」ということを伝えたくて、あえて伝えることを止めたというのもあります。
今回、電話をスピーカーフォンにして、母にも聞こえるようにやり取りをしました。
僕一人の言葉では安心しない可能性があったので、複数の意見を直接聞かせたかったのです。
もしも同じような状況になられていて、代理で電話する場合にはぜひ、スピーカーフォンにして、親にも聞こえるように通話してみましょう。
騙される前の予防策
無視すべきものを無視しなかったことで、すでにアクションを取ってしまった=実質詐欺に引っ掛かってしまいました。
金銭的な実害はなくとも今回「詐欺師リスト」に母の情報が付け足されてしまいました。このリストは詐欺師グループに回ってしまうので、何にもなくてよかったと安心はできないのです。
人は騙される、という現実を受け入れること
これは、冒頭でも書いた社長の言葉です。
自分は騙されないと思っていても、騙されるものだという「現実」を受け入れることが大切です。だから、自分も騙されるかもしれない、と警戒をしておきましょう。
そうすれば、「怪しいかも」というセンサーがあなたを守ってくれるでしょう。
一人で抱え込まないこと、とにかく誰かに相談すること
今回、母親は1人の時にそのハガキをみてプチパニックを起こしてしまい、電話をしてしまいました。普段は実家には姉と兄が一緒に住んでいますのでその場にいれば守れるのですが、仕事している時間帯だったため、「今日のこの時間までに連絡をしなきゃ」と慌てさせられるという、見事に詐欺師の思惑通りに引っ掛かりました。
娘・息子がいても、その子供たちがいない時間に届くようにすれば、一人を作り出すことができますからね。
詐欺師は必ず「相手を驚かせ、パニック状態に陥らせる」ことをしてきます。通常の冷静な状態だと詐欺だとバレたり、慎重な行動をとるのが人ですから。
だから、そのナーバスな状態に行動するのではなく、必ず誰かに相談をして、まずは落ち着くことが大切です。
できるだけ、人を巻き込んで事件を解決させることが肝要です。
そうしないと、不安が募っていき、冷静になっても結局は電話をかけてしまう恐れがあります。それが人間の行動心理です。
訴訟されたって、こちらに非がなければ裁かれない
そもそもの話、本来訴訟されたってこちらに非がなければ裁かれないんですよ。
僕が思うのは、できるだけ良い行いをして生きると、こういう時に「自分にはその後ろめたいことはしていない」と、冷静に突っ張れる可能性があるんですよね。
でも、人は何かしらの業を背負って生きているのが普通で、何の罪もない人の方が少ないのではないかと思います。その心理的な部分を突いてくるので厄介なんですけどね。
「裁判」「訴訟」という普段自分宛てに使われないキーワードに騙されることなくやっていきましょう。
「一度息子(娘)に確認してから電話しますね」と折り返す
電話にかけてしまっても、「一旦息子に相談します。」「警察に相談します。」と伝えるように訓練しておきましょう。家族全員、まずはそれを徹底しましょう。
相手は、できるだけ他の人間の介入を嫌がるはずですので、おそらくそれを止めに来るはず。その時は十中八九怪しい、ということを家族で事前に話し合っておきましょう。
僕がやたら詐欺について詳しい理由
僕はITのセキュリティ対策についても勉学及び経験をしています。
実際にサイバー攻撃を食らい、その対処をしたりもしています。過去の僕の記事「情報セキュリティの意識が低い企業はつぶれるかもしれない。」でも書いていますが、「実際の攻撃手法・犯罪者がどう考えて動くかをとらえる」ことが大切です。
それは詐欺も同じで、相手はどのように考え、どう行動するのかを予測することで防げることもあります。
理屈で考えていけば、それは成立しない、という事実にたどりつけます。
だから、僕は投資詐欺には引っ掛からなかった、ということはあります。
それでも、僕も騙されるときは騙されます。
なぜなら、詐欺師は人の行動心理を突いた攻撃をしてくるからです。
その道のプロは話したり、目が合うなどのノンバーバルなつながりを持った時点で、僕たちは簡単に騙されてしまいます。だから、できるだけ危険なところには近づかないように用心しないといけないですね。
特殊詐欺の現状について知っておきましょう。
2017年の特殊詐欺の被害件数は、18,201件。そのうち、架空請求詐欺は5,754件あります。
それだけの被害が出ていますし、この件数は年々増加していっています。
※被害金額に関しては2014年がピークで、少額の詐欺の件数が増えていっているということです。
詐欺師たちよ・・・
人を騙して奪った金で食う飯はうまいか?
謝辞
今回、僕の家族の身を案じてくださったO壁社長。
母から相談の電話をされてから、すぐに対応に移ることができ、母を早く安心させることができました。ありがとうございます。
そして、詐欺の相談にのっていただいた福井県消費生活センターの窓口の女性の方。
とても心強い助言と安心感をいただくことができました。ありがとうございます。
最後に、近隣の警察署の警察官の方。
セカンドオピニオン、ありがとうございます。
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